「医療事務は給料が安い」「手取りが少なくて生活が厳しい」という声を聞くことがあります。
実際、私は42年間医療事務の現場で働き、給料を理由に転職していくスタッフを何人も見てきました。
私自身も40年以上前、最低賃金400円台のアルバイトからのスタートです。
しかし、長く働いてきたからこそ、医療事務はずっと給料が安いままとは限らないとも感じています。
この記事では、現在の給与データも確認しながら、未経験からの昇給、資格や経験、役職、パートと正社員の違いまで、42年間の実体験をもとに医療事務の給料と手取りのリアルをお伝えします。
医療事務の給料・手取りは本当に安い?
「医療事務に興味はあるけれど、給料が安いと聞いて迷っている」
「毎月の手取りを見ると、このまま続けていいのか不安になる」
このように感じている方もいるのではないでしょうか。
医療事務は、患者さんの受付や会計だけをする仕事ではありません。
保険証の確認、診療費の計算、レセプト請求、電話対応、患者さんへの案内、医師や看護師との連携など、医療機関によって違いはありますが、さまざまな仕事を担当します。
それだけに、仕事を覚えてできることが増えてくると、「これだけ仕事をしているのに、給料はこれだけなの?」と感じる方がいるのも事実です。
現在の医療事務の求人賃金はどのくらい?
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」を見ると、医療事務のハローワーク求人賃金(月額)は、令和8年3月の全国平均で21.0万円となっています。
ただし、この金額はあくまで求人時の賃金であり、そのまま「手取り21万円」という意味ではありません。
給与からは社会保険料や税金などが差し引かれるため、実際に振り込まれる手取り額は人によって異なります。
また、医療事務といっても、
病院なのか診療所なのか。
正社員なのかパートなのか。
経験者なのか未経験者なのか。
資格や役職があるのか。
夜間の診療に対応するのか。
こうした条件によって給料は変わります。
ですから、私は「医療事務なら手取りは○万円です」と一つの金額だけで説明するのは、現場の実情とは少し違うと思っています。
私のスタートは最低賃金400円台のアルバイトでした
私が医療事務の仕事を始めたのは40年以上前です。
最初から正社員として採用されたわけではありません。
アルバイトからのスタートでした。
当時の時給は最低賃金で、400円台だったと記憶しています。
今の給与水準とそのまま比べることはできませんが、決して高い給料ではありませんでした。
それでも、私は医療事務の仕事を覚えるところから始めました。
受付。
会計。
保険。
レセプト。
最初は分からないことばかりでしたが、一つずつ経験を積み重ねていきました。
そして42年間働く中で、アルバイト、パート、正社員という働き方だけでなく、責任ある仕事や管理職も経験するようになりました。
振り返ってみると、最初の給料だけを見て「この仕事では収入は上がらない」と判断しなくて良かったと思っています。
「給料が安い」という不満は実際に何度も聞きました
一方で、管理職としてスタッフから給料について相談を受けることは何度もありました。
特に多かったのが正社員です。
未経験で入社した頃は、「経験がないから、この給料でも仕方がない」と納得していた方でも、数年経って仕事ができるようになると考え方が変わります。
受付ができる。
会計もできる。
レセプトもできる。
新人さんにも仕事を教えられる。
そこまで成長すると、「これだけできるようになったのだから、もう少し給料が欲しい」と思うのは当然だと私は思います。
実際、より給料の高い医療機関へ転職していったスタッフもいました。
特に求人が増える時期になると、経験者には選択肢が増えます。
「同じ医療事務なら、もう少し条件の良いところへ行きたい」
そう考える方が出てくるのも自然なことでした。
給料を大切に考えることは悪いことではありません
私は、給料を理由に辞めたいというスタッフに、「お金だけで仕事を決めてはいけない」と言ったことはありません。
なぜなら、私たちはボランティアで仕事をしているわけではないからです。
生活があります。
家族がいます。
子どもの教育費が必要になることもあります。
将来のために貯蓄したい方もいるでしょう。
仕事を選ぶうえで、給料はとても大切な条件です。
だから、「給料が安いから辞めたい」と思うこと自体は、決して悪いことではないと私は思っています。
ただし、42年間働いてきた経験から、もう一つ伝えたいことがあります。
今の給料だけを見て、医療事務の将来の収入まで決めつける必要はないということです。
経験を積むことで評価される人もいます。
資格を取得して加算が付く人もいます。
後輩を指導する立場になって昇給する人もいます。
役職に就く人もいます。
夜診に対応できることで優遇される場合もあります。
医療事務は、ただ年齢を重ねるだけではなく、「何ができるようになったか」が給与につながることもある仕事だと、私は長年の現場経験から感じています。
医療事務は給料が安いことを理由に辞める人も多かった
私は42年間医療事務の現場で働き、20年以上管理職として多くのスタッフと接してきました。
その中で何度も聞いてきた退職理由の一つが、「給料が安いから辞めたい」というものでした。
特にこの理由は、パートよりも正社員から聞くことが多かったように思います。
正社員は勤務時間が長く、担当する業務量も増えます。
レセプトの時期には残業することもあり、月末月初は休みを取りにくくなる場合もあります。
仕事を覚えて責任ある業務を任されるようになるほど、「これだけの仕事をしているのだから、もう少し給料が欲しい」と思うようになるのは、当然のことではないでしょうか。
給料だけでなく、人間関係や仕事内容など、医療事務を辞めたいと思う理由は人によってさまざまです。
私が42年間で実際に見てきた退職理由については、こちらの記事で詳しくお話ししています。

未経験の頃より、仕事ができるようになってから不満が出てくる
私が長年スタッフを見てきて興味深いと感じていたのは、入社直後よりも、ある程度仕事を覚えた人の方が給料への不満を持ちやすいことです。
未経験で医療事務を始めた頃は、分からないことばかりです。
受付の仕方を教えてもらう。
保険証の確認方法を覚える。
患者さんへの対応を学ぶ。
会計業務を覚える。
少しずつレセプトにも携わる。
先輩から一つひとつ教えてもらいながら仕事を覚えていきます。
その頃は、「未経験だから、最初はこの給料でも仕方がない」と納得している方も少なくありません。
ところが、数年働くと状況が変わります。
一人で受付ができる。
会計もできる。
保険制度も分かる。
レセプトも任される。
患者さんから質問されても答えられる。
新人さんにも仕事を教えられる。
できる仕事が増えるにつれて、自分の仕事に対する自信もついてきます。
そこで初めて、「私はこれだけ仕事ができるようになったのに、給料はあまり変わっていない」と感じるようになるのです。
私は、これは決してわがままなことではないと思っています。
自分の経験や能力に見合った給料を求めるのは、働く人として自然なことだからです。
経験を積むと転職という選択肢も増えてくる
もう一つ大きいのが、医療事務として経験を積むことで、転職先の選択肢が増えることです。
未経験の頃には応募できる求人が限られていた方でも、数年間の実務経験があれば「経験者」として応募できる求人が出てきます。
レセプト経験がある。
受付も会計もできる。
患者対応にも慣れている。
後輩の指導経験もある。
このような経験は、次の職場を探す時にも強みになります。
実際、私の職場から転職していったスタッフの中にも、「もっと給料の高いところで働きたい」と、同じ医療事務の仕事へ転職された方が何人もいました。
医療事務そのものが嫌になったわけではありません。
医療事務は続けたい。でも、今より良い条件で働きたい。
という選択です。
これは、以前の記事でも触れましたが、私が長年現場で見てきた退職理由の中でもよくあるケースでした。
求人が増えると転職する人も増えました
スタッフの動きを長い期間見ていると、世の中の雇用状況にも影響されていることを感じます。
就職先を見つけること自体が難しい時期には、新卒で医療事務を希望する方も多くいました。
反対に、求人が増えて転職しやすい時期になると、「もっと条件の良いところがあるかもしれない」と考えるスタッフが増えます。
医療事務の経験がある方なら、別の医療機関でもその経験を生かせる可能性があります。
だからこそ、ある程度仕事ができるようになったタイミングで、より良い条件を求めて転職する方が出てくるのです。
管理職の立場からすれば、仕事ができるようになったスタッフが辞めてしまうのは、とても残念なことでした。
「ようやく一人前になってくれたのに」と思ったことも、一度や二度ではありません。
でも、だからといって私は、「給料を理由に辞めるのは間違っている」とは言いませんでした。
給料が高ければ、それだけで良い職場なのでしょうか
ただ、転職を考えているスタッフには、一つだけ考えてほしいことがありました。
それは、「給料だけで転職先を決めて、本当に大丈夫ですか?」ということです。
同じ医療事務でも、職場によって働き方はかなり違います。
給料が高くても、夜診がある。
土曜日も勤務する。
残業が多い。
通勤時間が長くなる。
休みを取りにくい。
担当する仕事が増える。
こうした条件が付いていることもあります。
実際、より高い給料を求めて転職したものの、その後戻ってきた方もいました。
もちろん、給料は大切です。
私もそう思います。
でも、毎日働くことを考えれば、給料・勤務時間・休日・仕事内容・通勤時間・人間関係などを含めて、自分にとって何が大切なのかを考えることも必要です。
月々の給料が少し上がったとしても、勤務時間が長くなったり、休日が減ったりすれば、「以前の職場の方が自分には合っていた」と感じることもあります。
給料を理由に転職したものの、別の仕事を経験して医療事務へ戻ってきた方もいました。
「もう二度と医療事務はやりたくない」と辞めた人が、なぜ戻ってきたのか。こちらの記事でも詳しくご紹介しています。

「辞める・辞めない」だけで考えなくてもいい
給料に不満が出てきた時、「この職場を辞めるしかない」とすぐに考える必要はないと私は思っています。
まず、自分が今後どうなりたいのかを考えてみる。
資格を取得する。
できる業務を増やす。
新人を指導できるようになる。
夜診など、ほかの人が入りにくい勤務に対応する。
役職を目指す。
今いる職場の中でも、収入を上げる方法が残されている場合があります。
それでも希望する収入に届かないのであれば、転職を考える。
私は、その順番でも遅くないと思っています。
「給料が安いから辞めたい」という気持ちを否定する必要はありません。
大切なのは、今の給料だけを見て感情的に決めるのではなく、
「この職場で収入を上げる道はあるのか」
「転職すれば本当に今より良い働き方になるのか」
まで考えて、自分で納得できる選択をすることです。
42年間、多くのスタッフを見送ってきたからこそ、私はそう感じています。
医療事務でも給料が上がる人には共通点がある
「医療事務は給料が安い」
そう言われることがありますし、私自身も長く現場にいて、給料を理由に退職するスタッフを何人も見てきました。
ただ、42年間働いてきた経験から言うと、すべての人がずっと同じ給料のまま働いているわけではありません。
経験を積み、できる仕事を増やし、評価されて給料が上がっていく人もたくさんいました。
では、どのような人が給料を上げていったのでしょうか。
私が実際に見てきた中では、いくつかの共通点があります。
経験者や資格を持っている人は評価されやすい
まず大きいのが、実務経験です。
医療事務は、知識だけでは対応できないことがたくさんあります。
受付一つをとっても、患者さんによって対応は違います。
保険証の確認。
診療科への案内。
電話対応。
診療費の計算。
レセプト。
医師や看護師とのやり取り。
新人の頃には先輩に確認しながら行っていた仕事も、経験を積めば自分で判断できることが増えていきます。
そのため、医療事務経験者は採用時から評価されることがあります。
また、私が働いてきた職場では、医療事務に関する資格を持っていることで給与に加算が付く場合もありました。
もちろん、資格を持っているだけで仕事ができるとは限りません。
これまでの記事でもお伝えしてきたように、医療事務には患者さんや医師、看護師、同僚とのコミュニケーションも欠かせません。
それでも、資格取得のために学んだ知識は無駄にはなりません。
実務経験に資格が加われば、自分の評価を高める材料の一つになります。
未経験で入社した方でも、働きながら資格を取得し、少しずつ評価を上げていく姿を私は見てきました。
「自分ができる」から「人に教えられる」ようになると評価が変わる
私が特に大きな違いを感じてきたのが、後輩を指導できるようになった時です。
自分の仕事ができることと、人に仕事を教えられることは同じではありません。
例えば、レセプトができる人はたくさんいます。
しかし、
「なぜこの処理をするのか」
「ここを間違えると、どんな問題が起こるのか」
まで新人さんに分かりやすく説明できる人は、職場にとって貴重な存在です。
新人さんが困っていたら声を掛ける。
質問されたら、相手が理解できるように説明する。
ミスをした時には、叱るだけではなく、同じミスを繰り返さない方法を一緒に考える。
こうしたことができるようになると、単なる「仕事のできる人」から、「人を育てられる人」へ変わっていきます。
そして、その先にはリーダーや責任者、管理職という道もあります。
私自身も、最初から管理職だったわけではありません。
40年以上前、最低賃金400円台のアルバイトから始めました。
そこから仕事を覚え、経験を積み、人を指導する立場になり、責任ある仕事を任せていただくようになりました。
だから私は、若いスタッフにも、「今の給料だけで、自分の将来を決めなくてもいいですよ」と伝えてきました。
医療事務は、最初から何でもできる人ばかりではありません。経験を積みながら少しずつ成長していきます。
新人時代に仕事がなかなか覚えられず悩んでいる方には、こちらの記事も参考になると思います。

夜診に入れることも収入アップにつながる場合がある
医療機関によっては、夜間の診療を行っているところがあります。
私が経験してきた中では、夜診に対応できるスタッフが給与面で優遇されることもありました。
毎日でなくても、週に何回か夜診に入れるだけで評価が変わる場合があります。
特に子育て中などは、夕方以降の勤務が難しい方もいます。
そのため、夜診に対応できる人材は職場にとって貴重です。
もちろん、収入を増やすために無理をして夜まで働く必要はありません。
家庭環境や体力によって、できる働き方は人それぞれです。
ただ、「今より少し収入を増やしたい」という場合には、勤務時間や勤務帯を見直すことも一つの選択肢になると思います。
医療事務は年齢だけで評価される仕事ではない
私は、この点も医療事務の良いところだと思っています。
長く働けば、自動的に全員の給料が大きく上がっていくという仕事ではありません。
その反面、若いから給料が上がらないとも限りません。
仕事を覚える。
資格を取る。
レセプトができるようになる。
新人を指導する。
周囲から信頼される。
責任ある仕事を引き受ける。
そして役職を目指す。
こうした積み重ねによって、若いうちから評価される人もたくさん見てきました。
私は管理職として、年齢よりも、
「この人に仕事を任せられるか」
「周りのスタッフから信頼されているか」
「次の人を育てられるか」
という部分を大切にしてきました。
仕事ができても、自分のことしか考えない人より、周囲を見て行動できる人の方が、将来のリーダーとして期待できます。
これは医療事務の知識だけでは身につかない力だと思います。
給料を上げたいなら「転職」だけが答えではない
今の給料に不満があれば、転職することも一つの方法です。
私はそれを否定しません。
でも、転職する前に、「今の職場で自分の評価を上げる方法は本当にないだろうか」と考えてみる価値はあると思っています。
資格取得による手当はあるのか。
夜診に入れば待遇は変わるのか。
指導者になる道はあるのか。
役職を目指せるのか。
評価制度はどうなっているのか。
一度、確認してみてはいかがでしょうか。
「給料が安いから辞める」という選択だけではなく、「今の職場で給料を上げるには、私は何をすればいいのか」と考えてみる。
それでも将来が見えないのであれば、その時に転職を考えても遅くはありません。
40年以上前、最低賃金400円台のアルバイトから始めた私自身が、仕事を覚え、人を育てる立場になり、管理職として働くようになりました。
だからこそ私は、医療事務を始めたばかりの方に、最初にもらった給料だけで、この仕事の将来まで決めてほしくないと思っています。
医療事務はパートだから仕事の責任が軽いわけではない
医療事務の給料や手取りを考える時、「正社員とパートでは、仕事内容もかなり違うのでは?」と思う方もいるかもしれません。
もちろん、勤務時間や給与、福利厚生などの条件には違いがあります。
しかし、私が長年医療事務の現場で働いてきて感じるのは、実際に担当する仕事そのものは、正社員とパートで大きく変わらない場合も多いということです。
私自身、家庭の事情からパートとして働いた時期があります。
その経験からも、「パートだから簡単な仕事だけをする」「正社員より責任が軽い」とは言えないと感じています。
正社員とパートで大きく違うのは勤務時間と業務量
私が経験してきた職場では、正社員とパートの大きな違いは、まず勤務時間でした。
正社員は基本的に一日の勤務時間が長いため、それだけ多くの業務に関わります。
一方、パートは勤務時間が短かったり、勤務する曜日が限られていたりします。
そのため、一日あるいは一週間を通して考えれば、正社員の方が担当する業務量は多くなる傾向があります。
しかし、「正社員だから難しい仕事、パートだから簡単な仕事」と、きれいに分かれているわけではありません。
パートでも受付に入ります。
会計を担当することもあります。
レセプト業務を担当することもあります。
患者さんから質問を受ければ、その場で対応しなければなりません。
つまり、勤務時間や業務量には違いがあっても、勤務している時間内は同じ医療事務スタッフとして仕事をするのです。
患者さんから見れば正社員もパートも同じ医療事務です
私は、このことを新人さんにもよく伝えてきました。
受付に立っているスタッフを見て、
「この人は正社員」
「この人はパート」
と判断できる患者さんは、ほとんどいません。
患者さんからすれば、制服を着て受付にいる人は、みんな病院のスタッフです。
「○○科はどこですか?」
「この診療費はどうしてこの金額なのですか?」
「次の予約はどうすればいいですか?」
さまざまな質問を受けます。
その時、「私はパートなので分かりません」では済まないこともあります。
もちろん、分からないことを無理に答える必要はありません。
分からなければ、分かる人へ確認すればいいのです。
大切なのは、自分の雇用形態にかかわらず、患者さんに対して責任を持って対応することだと思います。
医師や看護師にとっても雇用形態は関係ありません
これは患者さんだけではありません。
医師や看護師と仕事をする時も同じです。
医師から確認を求められる。
看護師から問い合わせを受ける。
診療科との連絡をする。
必要な書類を確認する。
こうした場面で、「パートだから分かりません」とは言えません。
医師や看護師にとって必要なのは、「今、この仕事を任せられる人なのか」ということです。
正社員なのかパートなのかよりも、必要な仕事をきちんと行えるかどうかの方が重要です。
だから私は、パートで働いている方にも、「勤務時間は短くても、皆さんは大切な医療事務スタッフです」という気持ちで接してきました。
パートでもレセプトをすれば請求への責任があります
特に分かりやすいのが、レセプト業務です。
レセプトは、医療機関が行った診療について、保険者へ診療報酬を請求するための大切な仕事です。
パートスタッフがレセプトを担当することもあります。
その場合、「私はパートだから、間違っても責任はありません」ということにはなりません。
請求内容を確認し、必要があれば医師に確認し、適切に請求につなげていく必要があります。
もし請求できるものを見落としてしまえば、医療機関の収益にも影響します。
以前の記事でも書きましたが、医療事務では未請求レセプトは決して軽く考えられるミスではありません。
雇用形態にかかわらず、担当した仕事には責任があります。
だからこそ、パートでも経験を積めば、職場にとって非常に頼りになる存在になります。
パートという働き方にも大きなメリットがある
ここまで読むと、「それなら、給料が低いパートで責任ある仕事をするのは損なのでは?」と思う方もいるかもしれません。
でも私は、そう単純には考えていません。
パートには、パートだからこそのメリットがあります。
私自身も、家庭との両立が必要だった時期にパートとして働きました。
子育て。
家庭の事情。
自分の生活。
仕事だけを優先できない時期は、人生の中にあります。
そんな時に、医療事務の仕事を完全に辞めず、勤務時間を調整しながら経験をつないでいけることは大きなメリットでした。
そして、生活環境が変われば、再び勤務時間を増やしたり、正社員を目指したりすることもできます。
医療事務は、長く続けることで経験が積み重なっていく仕事です。
ですから私は、「正社員でなければキャリアにならない」とは考えていません。
パートとして働いた期間も、私にとって大切な医療事務経験の一部です。
給料だけでなく「自分に合った働き方」も考えてほしい
医療事務の給料や手取りを考える時、どうしても金額だけに目が向きます。
もちろん、お給料は大切です。
正社員としてしっかり収入を得たい方もいるでしょう。
一方で、
「子どもが小さい間は短時間で働きたい」
「家庭を優先しながら仕事を続けたい」
という方もいます。
どちらが正しいということではありません。
大切なのは、今の自分の生活に、どの働き方が合っているかだと思います。
私自身、長い医療事務人生の中で、働き方を変えながら仕事を続けてきました。
だからこそ、「今、正社員で働けないから」「パートだから」と、自分のキャリアを小さく考える必要はないと思っています。
パートで経験した仕事も、身につけた知識も、患者さんと接した経験も、すべて自分の力として残ります。
そして環境が変わった時、その経験が次の働き方につながることもあります。
給料と働き方は、どちらか一つだけを見るのではなく、自分の生活と将来を含めて考える。
私は、それが医療事務を長く続けるためにも大切なことだと思っています。
正社員でもパートでも、医療事務として長く働くために大切なことは大きく変わりません。
42年間の経験から感じた「長く働く人の共通点」は、こちらの記事で詳しくお伝えしています。

まとめ|医療事務は給料が安いから辞めたいと思ってもいい
「医療事務は給料が安い。」
「手取りを見るたびに、このまま続けていいのかと思ってしまう。」
「仕事は嫌いではないけれど、もう少し収入が欲しい。」
そんな気持ちを抱えている方もいると思います。
私は42年間医療事務として働き、20年以上管理職として多くのスタッフから相談を受けてきました。
その中でも、給料についての悩みは決して珍しいものではありませんでした。
そして私は、給料を理由に辞めたいというスタッフに、「お金より、やりがいの方が大切ですよ。」と言ったことはありません。
なぜなら、私はこう思っているからです。
みんなボランティアではなく、お給料を稼ぐために仕事をしているのです。
生活するために働く。
家族を支えるために働く。
子どもの教育費のために働く。
将来のために貯蓄する。
働く理由は人それぞれですが、給料が大切なのは当然です。
ですから、「給料が安いから辞めたい」という理由を、私は決して悪いことだとは思いません。
今の給料だけで医療事務の将来を決めないでほしい
ただ、42年間この仕事を続けてきた私から、一つだけお伝えしたいことがあります。
それは、「今の給料が、この先ずっと続くとは限らない」ということです。
私自身、40年以上前に医療事務を始めた時は、最低賃金400円台のアルバイトでした。
最初から正社員として採用されたわけでもありません。
そこから一つずつ仕事を覚えてきました。
受付。
会計。
レセプト。
患者さんへの対応。
医師や看護師との連携。
そして、経験を積むにつれて、後輩を指導する仕事も任せてもらえるようになりました。
さらに責任ある立場となり、管理職として仕事をするようになりました。
もちろん、誰もが同じように昇給するわけではありません。
給与体系や評価制度は勤務先によって違います。
それでも私は、経験や資格、仕事への姿勢などが評価され、給料を上げていったスタッフをたくさん見てきました。
だからこそ、今の給料だけを見て、「医療事務を続けても、ずっとこのまま。」と決めつけるのは、少し早いかもしれません。
若くても評価される人をたくさん見てきました
医療事務は、必ずしも年齢だけで評価される仕事ではありません。
若くても仕事を覚えるのが早い人。
資格を取得する人。
レセプトができる人。
後輩を指導できる人。
周囲から信頼される人。
夜診など、人員確保が難しい勤務にも対応できる人。
そうしたスタッフが評価され、責任ある仕事を任される姿を私は見てきました。
役職者も育てていかなければなりません。
ですから、やる気があり、周囲から信頼される人にとって、役職を目指すことも決して夢ではありません。
そして役職に就けば、それに伴って給与が上がります。
大切なのは、「あと何年働けば給料が上がるのか」ではなく、「自分は何ができるようになれば評価されるのか」という視点を持つことだと思います。
それでも転職を選ぶなら、私は否定しません
もちろん、頑張っても希望する給料に届かないこともあります。
勤務先によっては、昇給できる幅が小さいこともあるでしょう。
生活環境が変わり、「今の収入では生活できない。」ということもあると思います。
その時に、もっと条件の良い職場へ転職する。
私は、それも立派な選択だと思います。
実際、私の職場から給料を理由に転職された方もいました。
医療事務そのものを辞めず、より条件の良い医療機関へ転職した方もいます。
ですから、転職することを「逃げ」だとは思いません。
ただし、給料だけではなく、
勤務時間。
休日。
残業。
通勤時間。
仕事内容。
職場の人間関係。
こうした条件も含めて考えてほしいと思います。
給料が上がっても、毎日の生活が苦しくなってしまえば、「前の職場の方が良かった。」と思うこともあるからです。
給料は大切。
でも、給料だけが働きやすさのすべてではない。
42年間働いてきた私は、そう感じています。
現場で感じたこと
「給料が安いから辞めたい」と思うことは、何も悪いことではありません。
私たちは生活するために働いています。
だから、お給料はとても大切です。
私はスタッフからそう相談された時、その気持ちを否定しませんでした。
でも同時に、「このまま頑張ってくれたら、評価される可能性はありますよ。」とも伝えてきました。
資格を取る。
経験を積む。
できる仕事を増やす。
後輩を指導する。
役職を目指す。
働き方を変える。
収入を上げる方法は、転職だけとは限りません。
私自身、40年以上前、最低賃金400円台のアルバイトから医療事務人生をスタートしました。
そこから42年間働き続けることになるとは、当時の私は想像もしていませんでした。
だから今、給料のことで悩んでいる方にも、「今の給料だけで、自分のこれからを決めなくてもいいですよ。」と伝えたいです。
今の職場で頑張るのか。
資格を取るのか。
役職を目指すのか。
勤務条件を変えるのか。
それとも、より良い条件の職場へ転職するのか。
どれが正解なのかは、人によって違います。
大切なのは、誰かに言われたからではなく、自分の生活と将来を考えて、自分自身が納得できる選択をすることだと思います。
42年間働いてきた私が言えるのは、医療事務の最初の給料が、その人の将来の給料ではないということです。
経験したことも、身につけた知識も、人との関わりの中で培った力も、すべて自分の財産になります。
給料に悩んだ時こそ、「辞めるか、我慢するか。」だけではなく、「私はこれから、どんな働き方をしたいのか。」まで考えてみてはいかがでしょうか。
その答えが、これからの働き方を考える第一歩になると私は思っています。
あわせて読みたい
医療事務の給料について悩んでいる方は、仕事そのものや今後の働き方について迷っていることもあると思います。私の42年間の経験をもとに、こちらの記事でも詳しくお話ししています。





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